転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


296 行ってみたらほんとに幻獣だったけど……



 変なのが幻獣だった時のお話が終わったという事で、今度こそ出発。

 探索魔法はポイズンフロッグを見逃さないようにって全方位に向かってかけてたから、その辺なのがいたとこまでは1キロも離れてなかったんだよね。

 だからそんなに歩かなくっても、すぐ近くまではあっという間に行けちゃったんだ。

「お父さん。さっき変なのがいたとこの近くまで来たから、もういっぺん魔法で探してみるね」

「おお、頼んだぞ、ルディーン」

 あんまり時間はかかって無いけど、それでも僕たちがこんだけ移動できたんだもん。

 もしかするとさっき反応があった変なのは僕たちより早く移動してるかもしれないから、僕はもういっぺん魔法でどこにいるのかを探す事にしたんだ。

 そしたら、

「あれ? あんまり動いてないや」

 なんでか知らないけど、変なのはほとんど動いてなかったんだよね。

「そうなのか?」

「うん、ちょっとした動いてないよ」

「そうか。という事はもしかしたら、あんまり早く動けないタイプの魔物なのかもしれないな」

 動物や魔物にだって、ブレードスワローみたいにすっごく早く動くのもいれば、亀みたいにすっごくゆっくり動くもの居るよね。

 お父さんは、この先にいる変なのがもしかしたら、亀みたいにあんまり早く動けないタイプの奴かもしれないって言うんだよ。

「でもそうなると、幻獣の可能性が高まるな」

「そうなの?」

「ああ。魔獣ってのは、比較的素早い奴が多いんだ」

 魔獣ってのはね、みんな肉食なんだって。

 そんな魔獣がご飯を食べようと思ったら、他の動物や魔物を狩らないとダメでしょ?

 だからどんなにゆっくり動く魔獣でも、獲物を狩れる程度には素早く動けるんだってさ。

「まぁ、狩りが済んだ後で休んでるだけかもしれないから、はっきりと断言はできないがな」

「ご飯を食べてすぐ動くと、気持ち悪くなっちゃうもんね」

 魔獣だって生き物なんだから、ご飯を食べたら僕たちとおんなじでちょっとの間お休みするかもしれないもん。

 だから動いてないからって、それが幻獣だって証拠にはならないんだよってお父さんは言うんだ。

「ただ、さっきも言ったが幻獣である可能性が増したのも確かだ」

「ええ。ここからは慎重に行動した方がよさそうね」

 と言うわけで、僕たちは絶対見つかんないように、風向きとかを気にしながら反応があった場所に近づいて行ったんだよね。

 そして、

「あれが、そうみたいだな」

 もうすぐ見えるはずって事で、木に隠れながらそーと近づいてたら、遠くの方に変なのがいるのをお父さんが見つけて僕たちに教えてくれたんだ。

「どうやら幻獣で間違いなさそうね」

「ねぇ、あれが幻獣ってやつなの?」

「ええ。あんな風に宙に浮いていられる魔獣はいないはずだもの」

 僕たちが見てる先にはお母さんが言う通り、おっきな丸い物がふよふよ浮いてたんだよね。

「ああ。魔獣は確かに動物が変異したとはとても思えない見た目のものばかりだと言う話だが、流石にあんな小さな羽で宙に浮いていられるようなものはいないはずだ」

「そっか、じゃああれが幻獣なんだね」

 お父さんたちが幻獣って呼んでる丸っこいのはね、体の横でちっちゃな蝙蝠みたいな羽がパタパタしてるだけなのに何でかふよふよ浮いてるんだよ。

 それに元になったああいう動物がいるはずないから確かに魔物じゃないし、お口もないみたいだから肉食だって言う魔獣でもないみたいなんだよね。

 だから多分お父さんたちの言ってる通りあれが幻獣ってやつなんだろうけど、僕はそのへんてこな姿に見覚えがあったんだよね。

 あれって、フライングアイだよね?

 そう。遠くにいる焦げ茶色の丸っこいものは、僕が前の世界で遊んでたドラゴン&マジック・オンラインに出てきた、フライングアイって言うのにそっくりだったんだ。



 ゲームに出てきたフライングアイって言う敵は、黒っぽい焦げ茶色の丸い体に大きな目ん玉が一個だけあって、その体の横についてる小さな羽をパタパタさせながら空をふよふよと飛んでるモンスターだったんだ。

 でね、そいつはすっごく高い物理耐性を持ってる敵だったんだよね。

 だからドラゴン&マジック・オンラインでも見つかったばっかりの頃は、戦士とかの攻撃が当たってもダメージが0か1しか出なかったんだもんだから、狩りにくいからって見つけてもみんな無視してたんだ。

 でもね、ある日弱体魔法が絶対入るのが解ったもんだから、もしかしたらこいつは魔法に弱いんじゃないかと話題になったんだよね。

 と言うわけでいろんな人が調べてみたんだけど、そしたら魔法耐性がほとんどないから攻撃魔法で攻撃すると理論値ってやつと殆どおんなじだけのダメージが入る事が解ったんだ。

 だったらさ、盾約の前衛ジョブを一人いれといて、後はみんな魔法系のジョブにしちゃえば簡単にやっつけられるよね?

 その上フライングアイは同系統の系のモンスターがいろんなレベル帯にいたもんだから、魔法系ジョブのレベル上げで大人気だったんだ。

 因みにこのフライングアイだけど、高い物理耐性があるってだけで別にワイトやバンシーみたいに物理無効な訳じゃないから、レベルが上がって攻撃力がすっごく上がれば剣や槍でもやっつけられることができるんだよ。

 でもゲームなんだから、そんな高レベルになったのに何にも効果の付いてない武器なんか使ってるはずないよね?

 それにもしただ攻撃力が高いだけの武器を使ってる人が居たとしても、魔法系のジョブ全部が何かしら武器へのエンチャント魔法を覚えてるはずだもん。

 だからパーティーに魔法使いが普通にいるゲームの世界だと、ワイトみたいな物理無効の敵が相手でも前衛ジョブがバシバシ殴ってやっつけてたんだ。


 でもそっか、あれは幻獣ってのがフライングアイ系の魔物だったからなのか。

 僕ね、実はお父さんの話を聞いてて、一つだけなんでなんだろう? って思ってた事があるんだ。


 お父さんは幻獣は普通の武器で叩いても効果が無いって言ってたけど、向こうからの攻撃は盾や武器で防げるって言ってたでしょ?

 だけどさ、物理無効の特性を持ってるワイトやバンシーは盾や武器も全部すり抜けちゃうから、前もってマジックプロテクションとかの守りの魔法をかけておかないと攻撃が防げないはずなんだよね。

 だから僕、幻獣には普通の武器は効かないのに、何で攻撃は防げるんだろう? って思ってたんだ。

 でもすっごく高い物理耐性を持ってるだけならそれは攻撃のダメージが通らないだけだもん。

 ワイトやバンシーみたいに実体が無いわけじゃないから、お父さんが攻撃は防げるって言ってたのも当たり前なんだ。

 あっ、でもそうだとしたらちょっとおかしくない?

「お父さん、幻獣って領主様が持ってる特別な魔法の武器じゃないとやっつけられないんだよね?」

「ああ、そう言う話だ」

「じゃあさ、魔法は? 幻獣は魔法じゃやっつけられないの?」

「……そうだなぁ。おい、シーラ。知ってるか?」

「いいえ。私も、特別な武器でなければ倒せないとしか聞いてないし、そもそもうちの村には魔法使いなんていないから、そんなの考えて事もなかったわ」

 そっか。じゃあみんな知らないだけで、もしかしたらドラゴン&マジック・オンラインのフライングアイみたいに魔法に弱いのかも。

「何だ、ルディーン。もしかして魔法で倒そうと思ってるのか?」

「うん。だってもし魔法でやっつけられたら、武器を持ってもういっぺんここまで来なくてもいいんでしょ?」

「確かにそうだが、もし効かなかった時はどうするんだ?」

「ハンスの言う通りよ。幸い今はまだ、こちらに気付いていないようだもの。そんな危険を冒すより、一度イーノックカウまで戻って魔法の武器を持ってきた方がいいとお母さんも思うわよ」

 そっか、やってみてもし魔法が効かなかったら大変だもん。

 お父さんやお母さんが言う通り、いっぺん街に帰って領主様に武器を貸してくださいって頼みに行った方がいいよね。

 でもさ、あれってどう見てもフライングアイ系のモンスターだよね?

 だったら武器で戦うより、絶対魔法でやっつける方がいいって僕は思うんだけどなぁ。



 想像していた人も多いかと思いますが、辿り着いたところにいたのはドラゴン&マジック・オンラインに出てくるモンスにそっくりな幻獣でした。

 なにせこの世界はそのゲームを元に創造神が作ったものだし、何よりルディーン君が読んだ勇者の物語がゲームに出てくるかこの話と同じなんだから、同じ系統のモンスが出てきてもおかしくはないですからね。

 と言うわけで、実際この幻獣には魔法が凄く効きます。その上レベルもルディーン君より低いのでまさに、効果は抜群だ! 状態w

 ただ、それを読者のような神目線ではないルディーン君たちは知る事ができないんですよね。 


297へ

衝動のページへ戻る